今から1年と8か月ほど前になりましたでしょうか。
ミヤモト家具で働きたい!と、やってきた一人の女性。
弊社では。専務や副店長のチイちゃんの先輩にあたる、現富山大学芸術文化学部を卒業。
その後、ゲームをする人なら知らぬ者もいない大手企業。スクエアエニックスに新卒で入社後、6年間の勤務を経て、富山に帰郷(転職無し!)
なんていう、中途採用者の中でも抜群の履歴書を持って(笑)、面接にやってきた彼女。
面接の際には、ミヤモト家具の未熟な面を片っ端からワタクシお話しし(笑)、通常の業務の10倍ほど大袈裟に!弊社の大変さをアピールしてみたのだが、全く折れようとしない(笑)
基本的に私の面接のスタンスは、
「あっ!インテリアショップって綺麗な業界と思ったけど、大変そうだな?やめとこう!」
と思わせるのが、いわば狙いです(なんの為に!?笑)
私は以前のブログの際にも話したように、仮に、この先設立当初の過酷な状況下に戻ろうと、リストラ等はさらさらする気も無いし、
それならば、心から一生面倒を見てあげたい!幸せにしてあげたい!
と、思える人と共に働きたいと思っている。
バイトやパートなどを希望するヒトならともかく、社員希望の面接ならば、優しい言葉は一切かけない。
ちなみに彼女。
最初の一次面接の際に、
「こいつは骨の有りそうなクソ真面目な女やな…」
と言うのが、ワタクシ最初の印象です(なんのこっちゃ!笑)
話しぶりからも真面目さの伝わってくる人柄と、それに、情熱も兼ね備えているようにも感じた。
しかしながら…
その後、3次面接までを終え、その時の中途採用の結果では、彼女を不採用にした…。
理由は、体育会系には程遠い、体力面に不安を感じたのと、当然差別ではないが、配送も出来る男性社員を優遇したというのが理由だった。
その後、しばらくが経過した。
実は不採用にした後も、私はずっと彼女の事を気にかけていた。
今は何処で働いているのかな?
元気にがんばっているのだろうか?
それから半年がたち、
今度はアルバイトの採用をし始めると、
また彼女がミヤモト家具の面接にやってきた。
彼女の顔を見た瞬間。
「あれっ!元気でしたか?久しぶりやね!」
と話をすると、
照れくさそうにはにかむ彼女。
あれから何をしていたのか?どんな仕事をしていたのか?
そんな内容の事を話したと思う。
とはいえ、その時は年末年始の忙しくなる配送の短期募集をしていた為もあって、これまた不採用。
タイミングが悪いな~
縁が無いのかな~と思ったりもしたが、
今年春に、新店舗の計画が前倒しの計画となり、人員を募集しなければならなくなった。
沢山の応募がある中で、ふと彼女の事を思い出したワタクシは、こんなメールを送った。
「新店舗に向けての採用をすることになった。もしも今の状況で可能な立場であるのなら、一度ご返信下さい」
その後、すぐに返信が来た。
その返事は
「是非ともお願い致します!!」
1年8か月前と同じく、3次面接まで数名に絞りながら、
3度目の面接時に、
「あなたを採用したい」
と彼女に話した。
う~~ん。随分と前置きが長くなりましたね(^_^;)
彼女の名前は池田真希。
通称池ちゃん。
アルバイトからの入社でした。
文化系の彼女に、私は過酷にも、女性陣初!3か月間の
「配送研修」
を実施した。
家具の配送を女性が?
と思うかも分かりませんが、その通り。
女性には、あまりに過酷な仕事と思う。
ミヤモト家具は量販店と違い、基本無垢材家具の為、とにかく重い!
夏のトラックの中は、まるでサウナ。とにかく暑い!
雨の降る日や、風の強い日も、その日の計画道りに作業を進めなければならず、
家具を濡らしてはならぬと気を遣いながら家の中を往復する。
よって、その日その日の気候にも左右され、体力の消耗も激しく、当然のことながら、男性でもキツイ。
お客様の家は、絶対に傷つけてはならぬ為、
とにかく気を遣っての作業が100%。
現場での接客。
特にミヤモト家具の場合は、
お手入れの仕方などの説明も不可欠の為、言葉遣いや礼儀、家具の知識も必要である。
配送の仕事を覚えながら、同時に、家具の勉強をしなければならない。
新人だからと言って、ミヤモト家具の社員である限り、お客様は許してはくれないのだ。
つまりは、
体力、忍耐力。いずれも必要であり、
最も女性に不向きな仕事であると言える。
当然のことながら誰しも心配した。
元々優しい性格の専務は、特に心配そうだった(笑)
「社長は本当に配送研修をさせるのか?」
そんな空気も流れた。
しかしながら、
私は将来、彼女にミヤモト家具をしょって立つような、女性幹部になってもらいたいと、配送研修をウド店長にお願いした。
これまでの学生時代からを含めた彼女の人生の内、最も体力を要した時間だったのではと思う。
専務とマンツーマンの夜の勉強会の時は
配送業務をこなした後に、専務に厳しく指導されながら、
「自分は社長や専務の期待に応えられていない」
と泣き出したこともあった。
ウド店長に慰められ、泣いた顔を悟られまいと、無理くり真顔に戻して
「勉強会をお願いします!」
と専務に言ったこともあった。
それに、
私は、途中、彼女が「辞める」と言い出すことも覚悟していた。
と同時に、女性陣初の、配送研修を全うしたというミヤモト家具の今後の歴史に、名を刻んで欲しいとも期待もした。
そして、
3ヶ月が経過した。
彼女は
配送という仕事に真摯に向き合い、
その仕事を全うした。
実の所、彼女に配送研修をさせた本当の目的が私にはあった。
いつか彼女の下に、沢山の新入社員が入社した時に、
配送の仕事の大変さを思い出し、
その仕事に携わるヒトを思いやり、
きっと、今頃配送のウド店長や浦ちゃんは、こうして頑張っているからと、
ショップ内での販売・コーディネートの業務に集中しながら、
自分がトラックに乗って配送していた時を思い出し、
一分一秒無駄にしない仕事が出来るようになると思ったからだ。
とはいえ、
販売・コーディネートの仕事は難しく、そんなたやすく結果が出るような仕事で無いのは私も分かっているが、
例え今が0点でも、
彼女は解答用紙にめい一杯解答を書き込んで0点を取るタイプと思う。
何も書き込まず、0点を取ることこそ悪だ!
私は解答用紙に何も書き込まずに0点を取る人には厳しく叱ろうと思うが、
その仕事に果敢にチャレンジし、
自分で考えて、めい一杯書き込んで、解答用紙に0点の答えを出す人を、
絶対に見捨てる事はしないし、責任も取らせない。
なにはともあれ、
彼女は女性陣初の配送研修を見事に全うし、
その日私は、夜最後まで残っていたスタッフと共に、
ヤマザキデイリーストアのシュークリームを買ってきて(笑)、
こっそりお祝いしてやった(*^_^*)
こうして、
彼女の第二の人生が始まった(*^_^*)
それいけ!池ちゃん!
何度も転んで、
自分も一緒に楽しみたい(笑)
それでは皆様。ごきげんよう(*^_^*)
ミヤモト家具
INTERIOR SHOP MIYAMOTO
https://www.miyamoto-kagu.net
Vintage Factory
https://www.vintagefactory.jp
代表取締役 宮本 豊彰