今から12年以上も前の話である。
夜中、とある人に手紙を書き、深夜の栗林園前のポストに駆け足で投函した。
私は 27歳
外は肌寒い夜だった。
当時は、まだスタッフも私を除くと2名しかおらず、提案も、配送も、修理も雑務も、
ほぼほぼ1から10までの事を、自分一人でこなしていたと思う。
店内は、理想から遥かにかけ離れた完成度で、
四六時中働いていたものの、
今思い出すと、良くなっている実感も無くはなかったが、
どん底時代から抜け出し、まだ3年。
未来を見据えて仕事をするなんてことは、
考えている暇もなく…
少ない人数と、わずかな資本の中、
魅力に乏しい当時のミヤモト家具で、
ご来店いただくお客様も限りなく少数でして…。
12年以上も前なのに、私は当時いらっしゃったお客様の顔を
未だに良く思い出すこともできる。
12年前の、とある日曜日の2時頃だったと思う。
大柄でガッチリとした体形の男性が来店し、私は声をかけた。
聞くと、これから新築をするとのコト。
今とは比較にならない、数少なかった当時のご来店者の中、無我夢中だった私は、
なんとか自分に提案させてほしい!とお願いした。
奥様は生まれたばかりの赤ちゃんを抱え、
そんな私にも、優しく声をかけてくれたことが嬉しかった。
後日、お打合せをさせていただくことになった私は、
ご主人の服装や趣味や好きな音楽、奥様の雰囲気などを思い出しながら、
こんな感じかな?
いや、ご主人はこんなインテリアで、こんなライフスタイルがお好みじゃなかろうか?
などなど、
何度もプランを練っては、LDに飾る小物などもセレクトし、
一点一点、マメに資料をプリントしては、
ファイルに入れて、ご主人に提案した。
奥様は、お子様が生まれたばかりのせいもあって、
高岡のご自宅までお伺いすることもあった。
ご主人が生まれた場所を見ることで、
なんとなく親近感も湧いたし、
こんな感じで育ってこられたのかな?
などと、勝手に背景も想像しながら、
私は少しづつ、ご主人と奥様との距離が、近くなっていることに、
ささやかな喜びを感じていた。
それに、ご主人がとても楽しそうに、家具選びをしてくれたので
私も何だか嬉しくて、
ご主人がミヤモト家具にいるのが飽きるくらいまで、
とことんお付き合いしようとも思った。
打ち合わせじゃないときも、
私はご主人が好みそうなモノを見つけては、
写メを送ったりなどして、
とにかくご主人と奥様に、喜んで頂きたい。
そんな気持ちひとつで
当時は平気で深夜まで仕事が出来た。
最初の出会いから、2カ月ほどだったと思う。
家の中を、全て弊社の家具で埋め尽くすくらいにご予約を頂き、
そのほか、カーテンや照明、雑貨やファブリックに至るまで、
フル一式を弊社でコーディネートさせて頂いた。
今振り返ると、本当に不思議に思うのだが、
ご主人は、まだ納めてもいない時から、
何度も私にこう話してくれた。
「宮本君と出逢えて、自分は本当に幸運だった」
その言葉が、本当に嬉しかったし、
納入の日。
当然、私は配送にも伺い、少数のスタッフだったが、
総出で、
ほぼ丸一日の予定を費やし、納品した。
「あ~、いいのになった~」
と、とても喜んでくれたご主人。
嬉しそうに眺めて笑顔を見せてくれた奥様。
作業に、夕方まで時間がかかってしまい、
配送を終え、その後、予定があったご主人を車に乗せて
高岡の駅まで送ってあげた。
車中。
運転する自分に、、ご主人が何気なく、話してくれた言葉が、
今も忘れられない。
「ミヤモト家具が、将来、有名になってくれるといいな~」
私は、それを聞いて、当時ひとりのお客様が、弊社の発展を期待してくれていることに驚き、
嬉しくて、次に返す言葉を失った。
しばらく沈黙した後に、ご主人は続けてこう話してくれた。
「宮本君は、将来、必ず成功するよ。絶対に」
そう話すと、ご主人は車を降り、
「良い出逢いでした。ありがとう」
と笑顔で声をかけ、私はご主人を見送った。
あれから、12年以上もの月日が流れた。
私が成功したかは別として(当然、してもいませんが)、
その後もミヤモト家具のユーザーとして、
弊社の発展をいつも見届け、
時には、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザーとして、
ただただ好意、それだけで、多くのお客様を、
今もなお、ご紹介していただいている。
当時2名だったスタッフの数が、25名にもなったことも、
専務を見て、
「あんなしっかりした男。誰が育てたんだ?宮本君じゃないよね?笑」
と笑いながら話すご主人。
知り合いだった波君が、弊社に入社すると、とても嬉しそうに波君の事も話してくれた。
他のスタッフとお邪魔すると、
「社長は昔、こうやって、資料と一緒に、直筆で手紙を送ってくれたんだぞ」
と、実物を見せながら話してくれるご主人。
他の誰よりも、ずっと近くで、ミヤモト家具の発展を喜んでくれたご主人。
あの時はスタッフの前で、恥ずかしくて言えませんでしたが、
私があの時。夜中に投函した手紙。
ずっと取っていてくれたんですね…
言葉になりません…。本当に、本当にありがとうございます。
どんなに辛い時も、ずっと見ていてくれたヒトがいる。
どんな時にも、ずっと応援してくれたヒトもいる。
自分たちの成長を、心から喜んでくれたヒトがいる。
渡辺 泰さん
彼もまた、
私の、「大切な ヒト 」である(*^-^*)
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株式会社ミヤモト家具
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代表取締役 宮本 豊彰