今からおよそ24年前。
子供なら、成人してガッコウも卒業し、社会人にもなる年月が経過したという事になる。
私は当時15歳。
忘れもしない友人に出逢う。
彼を友人と言うと、彼の多くのファンからバッシングされそうで(笑)、あまり言いたくないのだが、ここは私のブログなのでそう呼びたい。
当時から、並みならぬカリスマ性と、他を寄せ付けない超越したセンスで、一躍有名人だったこの男。
その名は、
桜木 一郎くん(以下、いっちゃん)
私の、
24年にも及ぶ、古い友人である。
中学校の同級生だった彼と出会ったのは15歳。
私とは真逆の性格だが、当時、学校からの帰り道で一緒に帰り、
夜中彼の自宅に押し寄せては、雑誌を読みあさりながら、各段。何の会話をするわけでなく、
それでも彼といると、気を使う事も無いためか、妙に心地よかった.
その後、高校を卒業した彼は、すぐさま東京に行き、言い方が正しいのかわからないが?
あのころに一世を風靡したと言ってよい、「裏原宿系」の代名詞、「ELT(Every Little Thing)」に入社。
すぐさま頭角を表した彼は、その後、雑誌モデルなどを経由し、オリジナルブランドの「ANOKHA(アノーカ)」を立ち上げる。
あの頃に有名だったアパレルブランドは、彼が富山で流行らせたと言っても過言でなく、瞬く間に目まぐるしい活躍を見せた。
当時の彼の活躍は雑誌などでよく拝見したし、実際に20代前後の頃までは、東京の彼の自宅などにもよく遊びに行った。
それから数年後、
私は今の事業をやり始め、当時、あまりの過酷な状況下から、
「自分は、皆と楽しく遊んでいる身分じゃない」
そんな事を痛感し、
あえて同級生との連絡を、一切断ち切った。
同窓会と言うものにも顔を出すことなく、
あれだけ仲の良かったイチローとも疎遠になった。
皆が楽しく遊んでいる間、
自分は当時の100円マックと、吉野家を一日一食。
それでも、そんな苦しい自分に気づかれぬよう、
周りには明るく接した。
「何で自分ばっかり、こんな目にあうんだ」
と悲観した時もあったが、
その後事業が軌道に乗り、成長する間に、
私は当時仲の良かった同級生と、連絡する仕方を忘れたのか、
今度は忙しいという事を理由に、皆に逢おうとすらしなくなった。
なので
今はよほど仲の良かった同級生しか覚えていない。
きっと、わかきし頃の何とかと言うけれど、
調子に乗っていたんだと思う。
どーしよーもない、ちっちゃな男だな、 じぶん。
あれから随分と時が過ぎた。
今年1月。彼が、富山に戻ってきて、お店を開業すると人づてに聞いた。
その後、疎遠だった彼から、随分と久しぶりにメールが来て、
数日前からやり取りを始めた。
出張中に、
「とよあき。飯でも食いにいこう」
と連絡が来たので、
名古屋に滞在中だった私は、
「帰りに店に寄るから」と、
出張に行ったその足で、閉店間際の19時過ぎに、彼の店に初めて立ち寄った。
もう、いつ以来か、忘れるほど逢っていない。
車を前に止めると、
店からいっちゃんが顔を出した。
お互い、歳はとったが、
「トヨアキ、ひさしぶりやな~」
と抱擁し、
何故だか不思議と
久しぶりに逢った
という感覚も忘れた。
店内は
彼のオリジナルブランドのアノーカと、
国内より厳選された、とても良いモノづくりをしているデザイナーの服やアクセサリーが、所狭しと並んでいる。
廃材を使って、ほぼほぼ手作りで仕上げたというお店だが、見事に商品とマッチし、彼らしいセンスの良い店と思った。
しかしながら
実は製品はあまり見ていない。
何故なら、
私は、彼に逢いに行く前から決めていたのだ。
彼のデザインした服を買おう。
それが、自分に合っていなかろうが、自分が好きでなかろうが、私は彼のデザインした、アノーカを買うつもりで立ち寄った。
なので、彼から
「とよあき。一回着てみたら」
と言われたが。
奥の方に、試着室も当然あった。
でも自分はこう言った。
「試着はいいよ。それを買いにきたんだ」
久しぶりに古着以外で、新品の服を購入した。
それと、富山の有名なDJとコラボしたCDと、自分が銭湯に行く用のトートバックを購入した。
金額は覚えていない。
でも、
とても気に入っている。
何故なら、いっちゃんがデザインした服だからだ。
お店で、小1時間ほど話をした。
そこで、ずっと逢わなかった間の、彼の苦楽を垣間見て、
自分ばかりが大変な思いをしていたわけでは無い。
皆、それぞれに苦労があることを知ろうともしなかった。
当時はそんな風に思ったことが無かったが、歳を重ねて、ようやくそう思えるようになったのかもしれない。
本当は、楓のマスターや鼓のよっちゃん。
あおき接骨院の大ちゃんに、最近では幸せの香りのミワちゃんも、
みんな店をオープンする時には、自分を頼りに家具を買いに来てくれた。
そんなことも忘れているのか?俺は… 。
そういえば、最近になって、同級生との関わりも、少しづつ多くなった気もする。
自分の、20代から、言うてもちょっと前までだろうな。
がむしゃらに仕事をし、そこそこな成果も出してはいたが、
とても未熟な男だったと、改めて気が付く。
帰り道。
彼に「有難う」とメールした。
妻には、
「いっちゃんの所で服を買った」
というと、何故かとても喜んでいた。
翌日、
「とよあきが来てくれたことが、お世辞抜きで一番嬉しかった」
と返信がきて、
思わず泣けた。
いっちゃん
私は古くからの
彼の影の友人として、
ずっと応援したいと思う。
いっちゃんらしく、生きていって欲しいと思った
9月の、ちょっとだけ肌寒い、そんな夜。
桜木商店のイチローくん。
彼もまた、私の
“大切なヒト”である(*^_^*)
ミヤモト家具
INTERIOR SHOP MIYAMOTO
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Vintage Factory
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代表取締役 宮本 豊彰