2014年12月。
富山に縁もゆかりもない、
ひとりの女性が、弊社に採用面接を受けに来た。
ご存知の通り、
2014年の後半から翌年の前半は、
姉妹店となるLOWVE(ローヴェ)のオープン間近というコトもあり、
私はオープン前の準備で大忙し。
時間的にも、アルバイトやパートさんの面接まで見ていられず、
当時、本店に勤務したいという希望者の面接は、
全て専務に任せていた。
毎日の忙しさのあまり、私は、履歴書だけに目を通し、
その時は、
「この子、いいんじゃない?」
てな感じで、専務に相談し、
入社してきたのが、前述に出てきたイヌイさん。
最初の印象は、
おとなしそうな子だな。
といった感じの、なんとなくな印象。
今思えば、
県外出身のイヌイさんは、富山に、何の縁もゆかりもない上に、
弊社の勤務が、社会人になって2社目というコトもあり、
きっと、とにかく不安だったのだろうと推測できる。
歳も20代半ばと若く、既婚者。見た目は童顔で、とても可愛い。
ご主人の転勤がキッカケで、初めての土地である、
富山に来たというわけだ。
時は経った。
当時、私は新店舗のLOWVEに自分のデスクを移した関係もあり、
本店に勤務するイヌイさんとは、頻繁に会話をしたというわけでもない。
本店に馴染めるかなと心配もしたが、
そんな心配もよそに、
言葉少なくとも、イヌイさんは楽しそうだ。
話しかけると、いつも笑顔で、キッチリとした返事をしてくれる。
基本真面目で、見た目からも誠実さが伝わるイヌイさんは、
どこの部署を問わず、とにかく皆から愛された。
途中経理に所属し、
うちのトモエさんは、常々私に、
「イヌイさんは完璧だから大丈夫!」
と、話していた(笑)
そんなイヌイさん。
私には、ひとつ気がかりなことがあった。
あまり感情を表に出さないイヌイさんだったので、
常々、ホームページ上のメッセージ欄での、
とても心温まる熱いコメントや、
時折、
「イヌイさん。仕事は楽しいですか?」
と聞くと、決まって、
「はい。楽しくさせて頂いてます。」
と、謙虚に答える。
見た目によらず、気持ちは熱いようも見える。
実際はどうなのか?
パートさんでありながら、専務にも家具の勉強会をしてもらったイヌイさんは、
経理所属でありながら、
プランボードを片手に、お客様にご提案まで出来るようになった、弊社でも数少ない常勤のパートさん。
オールマイティーに何でもこなせる、
無くてはならない貴重な戦力として、各部署で重宝されるようになる。
他の部署がピンチの時には、
少しでも働く仲間のお役に立とうと、
自ら進んで他部署の仕事も手伝いに来る。
スリザキさんが、弊社の採用試験に出向こうか迷っていた際には、
たまたまスリザキさんとお知り合いだったご主人に、
「ミヤモト家具の仕事はどうか?」
と訊ねられ、
「仕事は凄く楽しい。本当に素晴らしい職場」
だと、ご主人に話したそうだ。
そのことは、のちに、スリザキさんから私は伝え聞くコトになるのだが、
間接的にご主人からそれを聞いたスリザキさんは、
最終的にその言葉が、
弊社の入社試験に臨もうと決意したキッカケになったという。
その後の活躍はご存知の通り。
また時は経過した。
そんなイヌイさんは・・・
残念ながらこの度。
ご主人の転勤に伴い、
富山を、
そしてミヤモト家具を離れなければならなくなった。
ミヤモト家具での勤務最終日。
SOLIDにいた私に、最後の挨拶をしに来たと同時に、
帰り際、
私は彼女から、一通の手紙を受け取った。
6枚にもわたる、長文の便箋だった。
そこには、
新卒で入社した、前職での苦悩。
前職での出来事がトラウマで、
ミヤモト家具に入社する時に感じた不安。
どんな人が社長で、
その下で働くスタッフはどんな人なのか。
楽しく働くコトが出来るのか。
いろいろな葛藤を抱えて弊社に入社してきたことが
赤裸々に書かれていた。
そして・・・
その手紙の最後に書かれていた文章を読んで、
切なくて切なくて、とめどなく涙が溢れる。
「みなさんが情熱を持ってお仕事されているのは
社長の情熱がちゃんと伝わっているからです。
社長と社員がお互いを信頼し認め合い
同じ考えのもと働くことが、
どんなに素晴らしくて難しいことか私には分かる。
そのような会社で働くことが出来たおかげで
ちゃんと私は仕事を楽しく、
熱い思いを持って取り組む事が出来る人間なんだと
自信を持つことが出来ました。」
そして、そこにはこんなことも書かれていた。
「今度はいつか、社長と社員の皆さんが
私をひっぱってくれたように
今度は私が誰かを勇気付けることの出来る人間になりたい」
もはや言葉にならない。
悲しくて悲しくて仕方がない。
真面目で、ひたむきで、
あまり感情を表に出さない。
何を考えているのか、ちょっとわかりづらい。
そんな子でしたが・・・
胸の中に、ずっとそんな情熱を秘めて、
仕事をしていたのだと思うと・・・
少しでもイヌイさんのお役に立てたのかなと思うと・・・
嬉しくて。。。
そしていなくなるのが悲しくて。。。
今になってですね。。。
もっと話をすれば良かったとか…
もっと笑わせてやれば良かったとか…
ええ。ホンマに・・・今更ですね・・・。
3年弱の短い期間でしたが・・・
いろんな想いが交錯し、僕は今、少しばかし後悔している。
最後の日に、
こんな手紙を渡してくるなんて・・・
イヌイさん。反則ですよ・・・
きっと、僕のブログを見てくれていると思うから。
だからここで御礼を言いたい。
名古屋に行っても、
どうかくれぐれも体に気を付けて、
元気でいてください。
戻りたくなったら、
いつでも戻ってこればいい。
また、前職の時のような、
悲しい出来事があったとしたら、
いつでも相談してきてほしい。
自分では、イヌイさんのお役に立てたとは思えないので、
今度こそは役に立ちたい。
イヌイさん。
どうかお元気で。
名古屋での職場も、
楽しくて、情熱を持って取り組める職場になるよう、
イヌイさん。
ミヤモト家具での職場を思い出して、
今度は、
自分が、その力になってあげてください。
本当に、本当にありがとう。
世の中、器用で、想いが強く、言葉で皆を鼓舞する。
そんな力強いリーダーもいる。
しかし中には、口下手でも、おとなしくとも、
とびっきりの情熱を胸に秘めて、
その仕事ぶりで、皆をひっぱるリーダーもいる。
そう。
必ず情熱は伝染するのだ。
ずっと心に秘めた、数々の想いを胸に
イヌイ ユリコ 28歳
彼女もまた、私の、「大切なヒト」である(*^-^*)
株式会社ミヤモト家具
https://www.miyamoto-kagu.net/corp/
INTERIOR SHOP MIYAMOTO
https://www.miyamoto-kagu.net
Vintage Factory
https://www.vintagefactory.jp
Interior Proshop LOWVE
https://www.kagu-lowve.jp
SOLID FURNITURE STORE
https://www.solid-furniture.jp
代表取締役 宮本 豊彰